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がんの診断を決める「病理検査」って何?

かない内科の井上学です。

 

かない内科のHPを訪問してくださり、また多くの活動に注目していただきありがとうございます。

 

ここでは、がん治療認定医の井上が、国内死因トップである「がん」に関してなるべく分かりやすくお伝えしていきます。助手との会話形式のブログで解説していきます。

 

皆さんからのご意見やご希望をお待ちしていますので、遠慮なくいつでもご連絡ください。

 

 

今回のテーマは「がんの診断を決める「病理検査」って何?」に関してです。

 

 

 

 

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先生、この前クリニックで「がんかもしれない」と言われた患者さんが、「病理検査の結果が出るまで不安で仕方ない」って話していました。病理検査って、そんなに重要なんですか?

 

 

 

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すごく重要だよ。
病理検査は、がんの診断を最終的に確定させるゴールドスタンダード(決定打)なんだ。画像検査や血液検査で「がんが疑わしい」と分かっても、本当にがんかどうか、どんな種類のがんなのかは、病理検査で顕微鏡を使って調べないと確定できない。

 

 

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顕微鏡で見るって、どんなことをしているんですか?

 

 

 

 

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例えば胃カメラや大腸カメラで小さな組織(生検)を採って、ホルマリンという液で固定して、薄く切ってスライドガラスに載せ、染色して顕微鏡で細胞の形や並びを観察するんだ。これを担当するのが病理医という専門の医師。細胞の形が正常とどう違うか、悪性度はどの程度か、がんの種類やサブタイプまで詳細に診断してくれる。

 

 

 

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そんなに細かく分かるんですね!

 

 

 

 

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そう。たとえば乳がんなら、ホルモン受容体やHER2という分子の発現を調べる。大腸がんなら遺伝子変異(RAS変異など)を追加検査することもある。これらは治療法を選ぶための大きなカギになる。

 

 

 

【結果が出るまで時間がかかる理由】

 

 

 

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患者さんは「なんでこんなに時間がかかるの?」ってよく聞きます。

 

 

 

 

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良い質問だね。病理検査は単純な作業じゃなくて、
・標本をきれいに作る(固定→脱水→切片作成→染色)
・顕微鏡で慎重に観察
・必要に応じて追加の特殊染色や遺伝子検査をするこのプロセスには数日から1〜2週間ほどかかることもある。「待つこと」=慎重で正確な診断のための時間なんだ。これからはAIとかが発展して診断時間が短縮されることを期待したいね。

 

 

【病理検査なしで治療できる?】

 

 

 

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「画像でがんっぽいから、すぐ治療してほしい」って思う患者さんもいると思います。病理検査なしで治療はできないんですか?

 

 

 

 

 

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基本的にはできないね。画像だけでは炎症や良性腫瘍との区別がつかない場合があるし、がんの種類によって治療は全然違う。例えば肺がんとリンパ腫では抗がん剤の種類も投与法も全く異なるし、手術適応も変わる。病理検査を省くと、誤った治療をしてしまうリスクが高いんだ。不要な手術も回避できるといったメリットもあるよ。

 

 

 

【セカンドオピニオンにもつながる】

 

 

 

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理検査の結果って、別の病院でも見てもらえるんですか?

 

 

 

 

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重要な点だね。もちろん。標本やレポートを持ってセカンドオピニオンを受けることもできる。病理医は「このがんはこのタイプ」と診断をつけるプロだから、治療の出発点として他院でも通用する。だから、結果をもらったら大切に保管しておくといいね。

 

 

 

【がん治療の精度を高める新しい検査】

 

 

 

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最近は遺伝子パネル検査とかリキッドバイオプシーって言葉も聞きます。あれも病理検査と関係しているんですか?

 

 

 

 

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そうだよ。遺伝子パネル検査は、手術や生検で取ったがんの組織を使って、たくさんの遺伝子変異を一度に調べる検査。リキッドバイオプシーは血液からがんの遺伝子情報を解析する方法。どちらも、従来の病理検査をさらに発展させた“次世代”の診断法なんだ。でも、これらもまず「がん組織が確かにがんである」という病理診断が出てから初めて意味を持つ。

 

 

 

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先生、このブログを読んでいる人に向けて、一言お願いします!

 

 

 

 

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病理検査は、がん治療のスタートライン。結果を待つ時間は不安かもしれないけど、正確な診断が最適な治療につながる。焦らず、医師と一緒に結果を確認して、次のステップを考えてほしい。

 

 

 

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私も「待っている時間は治療が遅れている時間」じゃなくて、確実な診断のための準備期間だって伝えるようにします。

これを知るだけでも、不安が少し和らぐかもしれませんね。

 

 

 

 

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その通り。がん治療はチーム戦。病理医、臨床医、看護師、技師、そして患者さん自身が協力してこそ、最良の結果が得られるんだよ。

 

 

 

まとめ

・病理検査はがん診断の決定打であり、治療法を決める土台になる。

・結果が出るまでに時間がかかるのは、正確さを確保するため。

・病理診断なくして治療を始めることは、誤った選択につながるリスクがある。

・標本とレポートは、セカンドオピニオンや将来の治療選択にも活用できる。

・遺伝子検査や新しい技術も、病理診断を基盤として進化している。

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