かない内科の井上学です。
かない内科のHPを訪問してくださり、また多くの活動に注目していただきありがとうございます。
ここでは、がん治療認定医の井上が、国内死因トップである「がん」に関してなるべく分かりやすくお伝えしていきます。助手との会話形式のブログで解説していきます。
皆さんからのご意見やご希望をお待ちしていますので、遠慮なくいつでもご連絡ください。
今日のテーマは「がんと腫瘍免疫学 ―「免疫はがんとどう戦うの?」」についてです。

「先生、今日は“腫瘍免疫学”についてお話ししたいんですけど……正直、すごく難しそうな響きですよね。患者さんからも“免疫ががんをやっつけるってどういうこと?”ってよく聞かれます。」

「確かに言葉は難しいね。でも本質はすごくシンプルで、“私たちの免疫は毎日、小さながん細胞を見つけては消してくれている”という話なんだ。むしろ、免疫がなければ人はもっと簡単にがんになる。」

「えっ、もともと体の中でがん細胞ってできているんですか?」

「そう。細胞が分裂するときにちょっとしたミスが起きるのは普通のこと。そこで免疫細胞――特にT細胞が『異常な細胞だ!』と感知して排除する。これが“免疫監視機構”って呼ばれる働きだよ。」
【なぜ免疫が働いているのに、がんになるの?】

「じゃあ、どうしてがんになっちゃうんですか?免疫がやっつけてくれるなら安心な気がしますけど……。」

「そこが腫瘍免疫学の一番大事なポイントでね。がん細胞は“免疫から隠れる賢さ”を身につけるんだ。」

「隠れる……ですか?」

「そう。例えば
・免疫細胞が探す“目印(抗原)”を変えてしまう
・免疫をブレーキする物質を出す(PD-L1など)
・免疫細胞が働きにくい環境をつくるなどで、免疫の目をごまかすんだ。」

「まるで鬼ごっこの鬼から隠れるみたい……。」

「その通り。だから、最初は免疫が勝っていても、途中からがん細胞が賢くなって免疫の網の目をすり抜けて増えていく。それが“がんとして発見される状態”なんだ。」
【免疫と予後は関係ある?】

「免疫って、治療の予後にも関係するんですか?」

「大きく関係するね。がんの種類によっては、腫瘍のまわりにどれだけ免疫細胞が入り込んでいるか(TIL:腫瘍浸潤リンパ球)で予後が変わることもある。」

「免疫細胞が多いと、治療が効きやすいとか?」

「そう。免疫がちゃんと働いている腫瘍は、治療――特に免疫チェックポイント阻害薬――の反応が良い傾向があるんだ。」
【免疫チェックポイント阻害薬って?】

「免疫チェックポイント阻害薬って、最近よく聞く薬ですよね?」

「うん。がんが免疫を“ブレーキ”する仕組みを外して、ふたたび免疫ががんを攻撃できるようにする薬だよ。 代表的なのは
・PD-1阻害薬
・PD-L1阻害薬
・CTLA-4阻害薬
などだね。」

「免疫のスイッチを“オン”にし直す薬なんですね。」

「そう。特に肺がん、メラノーマ、大腸がんの一部、胃がんなどで効果が期待できる。ただし、“効く人には劇的に効くが、効かない人には効かない”という特徴がある。京都大学の本庶佑先生がノーベル賞を取った発見としても有名だね。」
【副作用は“大きく免疫を動かすから”起きる】

「免疫の薬って、副作用が強いと聞くこともありますけど……。」

「確かに、免疫を強く刺激するから
・肺炎
・大腸炎
・甲状腺機能障害
・皮膚炎
など“免疫が暴走する副作用”が起きることがある。
でも適切に管理すれば治療を続けられることが多いよ。」
【腫瘍免疫を理解すると、治療の見通しがつきやすい】

「免疫がどう働いているかを理解すると、患者さんが治療を選びやすくなりますね。」

「そう。腫瘍免疫学は決して専門家だけの学問じゃなく、
“治療を理解するための軸”になる。
特に免疫治療を選択するときは、
・がんと免疫の関係
・効果が期待できるタイプの腫瘍か
・副作用の特徴
を知っておくと納得して治療を受けられる。」
【最後に ――がんと免疫の関係は進化し続ける】

「がんと免疫って、まるでずっと戦い続けているんですね。」

「うん。がんは“隠れる技術”を進化させ、免疫はそれを見抜こうとする。その攻防が腫瘍免疫学という学問を進化させてきた。 そして今、免疫治療は“第4のがん治療”と呼ばれるほど重要な選択肢になっている。」

「もっと患者さんにもわかりやすく伝えていきたいですね。」

「そのためのブログだからね。腫瘍免疫の視点は、これからのがん治療を理解するうえで欠かせない。ぜひ読者のみなさんにも“自分の免疫がどうがんと戦っているか”を感じてもらえたら嬉しいね。」
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