かない内科の井上学です。
かない内科のHPを訪問してくださり、また多くの活動に注目していただきありがとうございます。
ここでは、がん治療認定医の井上が、国内死因のトップである「がん」に関してなるべく分かりやすくお伝えしていきます。助手との会話形式のブログで解説していきます。皆さんからのご意見やご希望をお待ちしていますので、遠慮なくいつでもご連絡ください。
検診シーズンですね。
初回のテーマは「がんの疫学」に関してです。
正しい知識をつけて、毎年検診を受けましょう。
先生、最近テレビでも「がんは日本人の2人に1人がかかる」って言われていますけど、本当にそんなに多いのですか?
うん、本当なんだ。正確には、日本人の約2人に1人が一生のうちにがんと診断されるとされているよ。これは国立がん研究センターが発表しているデータに基づいていて、男女ともにリスクは高い。
えっ、それってすごく多く感じます。昔と比べて増えているのですか?
確実に増えているね。ただし理由は一つじゃない。まず高齢化社会が大きな要因。がんは年齢とともにリスクが高くなる病気だから、平均寿命が延びた現代ではどうしてもがん患者が増える。
なるほど。でも若い人でもがんになる人もいますよね?
もちろん。たとえば乳がんや子宮頸がんは比較的若い女性に多いし、若年性の大腸がんも最近注目されている。生活習慣や遺伝的要因、感染症などが絡んでいることがあるね。
感染症が原因になることもあるんですか?
そう。たとえば子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が主な原因。肝臓がんはB型・C型肝炎ウイルス、胃がんはピロリ菌との関連がある。だから、ワクチン接種や感染対策もがん予防の一部なんだよ。特に、子宮頸がんと胃がんはそれぞれ、HPVワクチンと除菌(抗生剤と胃薬)で予防できるから、絶対にやっておくべきだと思うよ。
へぇ~。ところで、日本で一番多いがんって何ですか?
罹患数(診断される数)で言うと、がん情報サービスの最新データによると男性は前立腺がん、女性は乳がんが最も多い。全体で見ると大腸がん、胃がん、肺がんも依然として多いね。ちなみに死亡数では肺がんが男女ともトップだったけど、最新の2023年版では、女性の死亡数で大腸がんがトップになったよ。
え、前立腺がんは死亡率は高くないんですか?
いい質問だね。前立腺がんは進行が比較的ゆっくりで、早期発見されれば治療成績も良好。だから罹患数は多くても死亡者数は少ない。一方、膵臓がんは診断されたときには進行していることが多く、予後が悪いんだ。
ふむふむ。じゃあ、がんを防ぐには何をすればいいですか?
まずは基本的な生活習慣の見直しが大切だね。
たとえば
・禁煙(喫煙は肺がんだけでなく、十数種のがんのリスクを高める)
・節酒
・野菜や果物を多く摂る
・運動を習慣化する
・適正体重を保つ
さらに、検診を受けることも重要だよ。
たとえば大腸がん検診や乳がん検診は早期発見・早期治療に非常に効果がある。
なるほど。定期的な検診、私もちゃんと受けようと思います。でも、がんって遺伝も関係あるんですか?
うん。がんの5〜10%程度は「遺伝性」とされているよ。有名なのは「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」や「リンチ症候群」など。家族に若くしてがんを発症した人が複数いるようなら、井上まで相談してね。
遺伝や生活習慣、感染症まで、がんって本当にいろんな要因が絡んでいるんですね。
その通り。だからこそ「これをすれば絶対にがんにならない」という方法はないけれど、リスクを減らすことは十分にできる。そして万が一がんになっても、今は治療の選択肢も増えていて、生存率も向上しているんだよ。
聞いていて少し安心しました。最後に、ブログを読んでいる方に一言お願いします。
がんは「怖い」病気と思われがちだけど、まずは「正しく知ること」から始めてほしい。がんは早期発見・早期治療で十分に治る時代です。日々の生活を見直しつつ、定期的な検診をぜひ受けてください。
先生の話を聞いて、「がんは運命ではない」と感じました。未来の健康は、日々の積み重ねから。私も 今日から意識を変えてみようと思います!
かない内科では、各種がん検診を実施しています。
気になることがあれば、お気軽にご相談ください。