かない内科の井上学です。
かない内科のHPを訪問してくださり、また多くの活動に注目していただきありがとうございます。
ここでは、がん治療認定医の井上が、国内死因トップである「がん」に関してなるべく分かりやすくお伝えしていきます。助手との会話形式のブログで解説していきます。
皆さんからのご意見やご希望をお待ちしていますので、遠慮なくいつでもご連絡ください。
今回のテーマは「がんの治療方針」に関してです。

先生、この前患者さんから「がんって今どうやって治すのが一番いいんですか?」って質問されました。
でも…がんって種類も多いし、治療法も色々ありますよね?
そうだね。「がん治療」と一言で言っても、実際には種類や進行度、患者さんの体の状態によって全く違う。
でも基本的な柱はあるんだ。よく言われるのは手術・薬物療法(抗がん剤)・放射線治療の3本柱だね。

まずは手術ですね。やっぱりがんがあるなら取ってしまうのが一番?

うん、がんがまだ広がっていない段階なら手術で完全に取り除ける可能性が高い。胃がんや大腸がんの早期発見例だと、手術だけで再発なく過ごせる人も多いよ。

でも、手術って体への負担も大きいですよね。
そう。開腹手術の負担は大きいけど、最近は内視鏡や腹腔鏡、腹腔鏡補助下ロボット(ダビンチなど)を使った低侵襲手術も増えていて、入院期間や回復が早くなってきている。ただし、がんが転移して全身に広がってしまった場合は、手術だけでは治せないんだ。

じゃあ、全身に広がったがんには抗がん剤?
そう。薬物療法は体の中にあるがん細胞全体を狙う治療。昔は「副作用がつらい」というイメージが強かったけど、今は薬の種類も増えて副作用対策も進んでいるよ。

最近よく聞く「分子標的薬」とか「免疫チェックポイント阻害薬」もこの仲間ですか?
そうだね。分子標的薬は、がん細胞の特定の性質を狙い撃ちする薬。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫のブレーキを外してがんを攻撃しやすくする薬だ。これらは従来型の抗がん剤よりも副作用が軽い場合もあるけど、効果が出るかはがんの種類や遺伝子変異によって違う。

放射線治療はどういう場合に使うんですか?
放射線は高エネルギーのビームでがん細胞を破壊する方法。体の奥にあるがんでも外から照射できるし、臓器を温存できることもある。例えば、頭頸部がんや前立腺がんでは放射線だけで治ることもあるよ。

副作用はありますか?
照射した部分に皮膚炎や粘膜炎が出たり、だるさが出たりするけど、最近はピンポイントで当てられる技術が進んで副作用はかなり抑えられてきた。

結局、この3つの治療法はどう使い分けるんですか?
がんの種類や進行度によって組み合わせるんだ。
例えば、手術で取った後に再発予防で抗がん剤を使ったり、手術が難しい場合は放射線と抗がん剤を同時に使ったりする。
これを「集学的治療」と呼ぶよ。

つまり「どれが一番いいか」じゃなくて、「その人にとってベストな組み合わせ」なんですね。
その通りだね。最近は遺伝子検査でがんの特徴を詳しく調べて、より効果の高い薬を選ぶ個別化医療も進んでいる。

じゃあ、このブログを読む方に一言お願いします。

はい。「がん治療は日々進歩しています。手術、薬物療法、放射線治療、それぞれの得意分野を理解して、あなたに合った治療を選ぶことが大切です。治療方法は一人ひとり違います。怖い気持ちは自然なことですが、まずは正しい情報を知ることから始めましょう。」

うーん、私も説明するときに「3本柱の組み合わせ」で話すとわかりやすいですね。
うん。そして「今は選択肢がある時代」だと知ってもらうことも大事だよ。
WEB予約専用
