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腫瘍マーカーって、がんの早期発見に使えるの?

かない内科の井上学です。

 

かない内科のHPを訪問してくださり、また多くの活動に注目していただきありがとうございます。

 

ここでは、がん治療認定医の井上が、国内死因トップである「がん」に関してなるべく分かりやすくお伝えしていきます。助手との会話形式のブログで解説していきます。

 

皆さんからのご意見やご希望をお待ちしていますので、遠慮なくいつでもご連絡ください。

 

 

今日のテーマは「腫瘍マーカーって、がんの早期発見に使えるの?」についてです。

 

 

 

イラスト先生、この前健康診断で「腫瘍マーカーが少し高めだった」と相談に来た患者さんがいました。

その方、とても不安そうで「がんなんでしょうか?」って…。

腫瘍マーカーって、どこまで信用できるものなんですか?

 

 

イラストいい質問だね。腫瘍マーカーは血液検査で測れる指標で、がんがあると上昇することがある。でも、「腫瘍マーカーが高い=がん」ではないんだ。逆に、がんがあっても腫瘍マーカーが正常なこともある。だから「診断の補助」や「治療の効果判定・再発チェック」に使うことが多いんだよ。

 

 

【そもそも腫瘍マーカーって?】

 

 

イラスト

 

具体的にはどんな種類があるんですか?

 

 

 

イラスト代表的なものを挙げるとね、・CEA(大腸がん・胃がん・肺がんなどで上がることがある)・CA19-9(膵臓がんや胆道がんで上がりやすい)・AFP(肝臓がん)・PSA(前立腺がん)・CA125(卵巣がん)それぞれ「このがんに関連しやすい」という特徴はあるけれど、必ずしもそのがんだけに特異的ではないんだ。

 

 

 

【腫瘍マーカーだけでがんは診断できない】

 

 

イラスト

じゃあ、腫瘍マーカーが高いだけで「がんです」とは言えないんですね?

 

 

 

イラスト

その通り。例えばCEAは喫煙者でも高くなるし、CA19-9は胆石や膵炎でも上昇することがある。つまり「がん以外の原因でも高くなる」のが腫瘍マーカーの特徴なんだ。だから、腫瘍マーカーは単独では診断に使えない。画像検査(CTやMRI、内視鏡)や病理検査と組み合わせて総合的に判断するんだよ。

 

 

 

【では腫瘍マーカーは役に立たない?】

 

 

イラストそうなると、「じゃあ腫瘍マーカーって意味がないの?」と思う人もいそうです。

 

 

 

イラストそんなことはないよ。腫瘍マーカーは、がんの治療経過を見るときにとても有効なんだ。例えば大腸がんの手術後にCEAが下がって、数年後にまた上がったら「再発の可能性」を早く察知できる。抗がん剤の効果を見極めるときにも、腫瘍マーカーが下がっているかどうかが参考になる。つまり「がんがあるかどうかを最初に決める道具」ではなく、がんの経過を追いかけるセンサーのような役割なんだ。

 

 

【PSAは少し特別】

 

 

イラストなるほど。じゃあ唯一「スクリーニング」に役立つ腫瘍マーカーってあるんですか?

 

 

 

イラストあるね。代表はPSA(前立腺特異抗原)。PSAは前立腺がんの早期発見に有効性が示されていて、健診でも使われている。ただしこれも「高ければ即がん」ではなく、前立腺肥大症や炎症でも上がる。だからPSAが高い場合は泌尿器科で精密検査を受けることが大切なんだ。確実な診断が必要なときは、前回のブログにもあったように小さな組織(生検)をとることが必要だね。

 

 

【腫瘍マーカーに振り回されないために】

 

 

イラスト先生、患者さんが「健康診断で腫瘍マーカーを全部調べたい」と言うこともあります。

それって意味があるんでしょうか?

 

 

 

イラスト実は、闇雲に全部調べてもメリットは少ないんだ。なぜなら「がんの早期発見につながる腫瘍マーカー」は限られているから。むしろ、軽度の上昇に過敏になって余計な検査をして不安を抱えるリスクもある。大切なのは、症状やリスクに応じて必要な腫瘍マーカーを測ること。そして結果だけを見て一喜一憂せず、医師の判断と組み合わせて考えることなんだ。今、こうしたがんの早期発見には様々な研究がされていて、血中循環がん細胞(Circulating Tumor Cell; CTC)というのも注目されている。これからのブログでも取り上げていくね。

 

【患者さんへのメッセージ】

 

イラスト腫瘍マーカーはとても便利な検査だけど、万能ではない。「少し高いから=がん」ではなく、「高いなら精密検査で確認しましょう」という合図に過ぎない。逆に、正常だからといって「絶対にがんがない」とも言えないんだ。

 

 

イラスト

つまり、腫瘍マーカーは「きっかけ」としては有用だけど、最終的な診断は画像や病理検査で確定するということですね。

 

 

 

イラストその通り。だから、腫瘍マーカーの数字に振り回されるよりも、定期的な検診や内視鏡、画像検査を受けることが、がんの早期発見にはより大事なんだよ。

 

 

まとめ

・腫瘍マーカーは「がんがあるかもしれない」ときの補助的な検査。

・早期診断の決め手にはならない(例外はPSA)。

・喫煙・炎症・良性疾患でも上昇することがある。

・治療効果判定や再発のチェックには有用。

・結果に一喜一憂せず、必ず主治医と一緒に解釈することが大切。

 

 

イラスト

今日のお話で「腫瘍マーカーに過度な期待をしないこと」が大事だと分かりました。
患者さんに伝えるときは、「数字はヒント、でも本当の答えは検査の組み合わせでしか分からない」と言えば伝わりやすそうですね。

 

 

イラストいい表現だね。腫瘍マーカーは、がん治療を進めるうえで欠かせないツール。
でもそれ単独で診断できるわけじゃない。賢く使うことで、患者さんの安心と命を守る武器になるんだよ。

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