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がんと認知症 ―高齢化社会で増える「2つの病気」にどう向き合うか

 

かない内科の井上学です。

 

かない内科のHPを訪問してくださり、また多くの活動に注目していただきありがとうございます。

 

ここでは、がん治療認定医の井上が、国内死因トップである「がん」に関してなるべく分かりやすくお伝えしていきます。助手との会話形式のブログで解説していきます。

 

皆さんからのご意見やご希望をお待ちしていますので、遠慮なくいつでもご連絡ください。

 

今日のテーマは「がんと認知症 ――高齢化社会で増える「2つの病気」にどう向き合うか」についてです。

 

 

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「先生、今日のテーマは“がんと認知症”ですね。クリニックでも、ご家族から“がん治療はできるの?本人は理解してるの?”って相談を受けることが多いです。」

 

 

 

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「本当に増えたね。日本では高齢化が進んで、がんも認知症もどちらも患者数が増えている。とくにがんと認知症を同時に抱えるケースはこれから確実に増えると言われているよ。」

 

 

 

なぜ「がん」と「認知症」は一緒に語られるのか

 

 

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「そもそも、がんと認知症って全然違う病気ですよね。どうして一緒に語られることが多いんですか?」

 

 

 

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「一番の理由は“どちらも加齢に強く関連する病気”だから。
がんは細胞の分裂エラーの蓄積、認知症は神経細胞の障害や脳内の老廃物蓄積……という具合に、歳を重ねることで発症率が上がる。」

 

 

 

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「そう考えると、どちらも『長く生きることの裏側の病気』という感じですね。」

 

 

 

 

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「そうなんだ。そしてもう一つ大切なのは、がん治療には患者本人の理解と意思決定が不可欠ということ。認知症があると、治療選択や副作用への対応が難しくなることがあるんだ。」

 

 

 

認知症があると、がん治療はどう変わる?

 

 

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「認知症があると、がんの治療は制限されるんですか?」

 

 

 

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「“必ず制限される”わけではないけれど、患者さんの状態を総合的に見て、治療の“強さ”や“目的”を調整する必要があるね。」

 

 

 

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「たとえば?」

 

 

 

 

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・手術:術後せん妄のリスクが高まる
・抗がん剤:副作用に気づきにくく、重症化のリスクがある
・放射線治療:通院や体位保持が難しい場合があるでも、“認知症があるから治療できない”という時代ではないよ。」

 

 

 

そもそも、がん患者は認知症になりやすい?

 

 

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「逆に“がんになると認知症になりやすい”っていうことはあるんですか?」

 

 

 

 

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「一部の治療、特に抗がん剤に関連して“ケモブレイン”と呼ばれる認知機能低下が起きることはある。ただし、これは明らかな認知症とは違う。多くは抗がん剤治療後に改善するし、認知症の原因になるわけではないんだ。」

 

 

 

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「なるほど。じゃあ“がん治療が認知症を引き起こす”というわけではないんですね。」

 

 

 

 

がんと認知症、発生の仕組みはどう違う?

 

 

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「発生機序も全然違いますよね?」

 

 

 

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「そうだね。簡単にまとめると――
がんの発生機序
・細胞分裂のエラー
・DNAの損傷の蓄積
・老化による修復能力の低下
・生活習慣や遺伝の影響
→ 細胞が勝手に増える病気

認知症の発生機序
・神経細胞の脱落
・脳に“タンパク(アミロイドβ、タウ)”が溜まる
・血管の障害(脳梗塞など)
・炎症の慢性化
→ 脳のネットワークが壊れていく病気

似ている部分もあるけれど、やっぱり発生の根本は別物なんだ。」

 

 

予後の考え方:何を優先するか

 

 

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「がんと認知症、両方ある場合は、予後ってどう考えたらいいんでしょうか?」

 

 

 

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「すごく重要なポイントだね。実は――認知症の進行度が、がん治療の選択に大きく影響する。」

 

 

 

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「というと?」

 

 

 

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「たとえば、
・軽度認知障害~初期の認知症なら、十分に標準治療(手術・抗がん剤・放射線)が可能。
・中期以降の認知症では、治療の副作用が生活の質(QOL)に大きく影響するため、“治す治療”より“負担を軽くする治療”を優先することが増える。」

 

 

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「がんのステージだけじゃなくて、認知症の進行度を一緒に考えるわけですね。」

 

 

 

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「そう。がんだけを見ても良い治療にはならないし、認知症だけを見てもいけない。『その人がその後の人生をどう過ごしたいか』が治療方針の中心になる。」

 

 

 

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「そのためにも、いろのわだより7月号にも書いてあったACP(アドバンスト・ケア・プランニング)が大切なのですね。いざという時にどうするか、どういった治療を望むか、どう生きたいかを話し合っておく重要性がありますね。」

 

 

 

家族の関わりが特に重要

 

 

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「がんと認知症がどちらもあると、ご家族の負担も大きいですよね。」

 

 

 

 

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「本当に大きい。だから、治療開始前から家族を含めたチームでサポートすることが大切だね。
・副作用の気づき
・通院や服薬管理
・生活支援など、家族の協力で治療効果が大きく変わるんだ。」

 

 

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「在宅医療や訪問診療も重要になりますね。」

 

 

 

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「そう。認知症があることで通院が難しい患者さんには、訪問診療を併用して治療を続けることも多いよ。かない内科でもやっているから相談してほしいね。」

 

 

 

まとめ:がんと認知症は「一緒に考える時代」

 

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「今日の話をまとめると――
“がんと認知症は同時に増える。治療は一人ひとりに合わせて調整する必要がある”ということですね。」

 

 

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「その通り。
そして、医療者だけでなく家族や地域、介護サービスも含めた“チーム医療”がより大切になる。
高齢化が進む今、“がんと認知症を一緒に考える”ことは避けて通れないテーマなんだ。」

 

 

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「読者の方にも、“がん治療は認知症があってもできる。だけど、より丁寧な調整が必要”ということが伝わってくれたらいいですね。」

 

 

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「うん。病気を2つ持つのではなく、“その人をまるごと診る”こと。
それが、これからのがん治療のスタンダードになっていくはずだよ。」

 

※せん妄:意識混濁に加えて、奇妙で脅迫的な思考や幻覚・錯覚が見られるような状態。一般的には一時的である事が多い。認知症とは異なり、発症が急激で症状が短期間で変化することが違いである。原因としては、身体的な負担(手術、感染症、薬など)が主。

 

 

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