かない内科の井上学です。
かない内科のHPを訪問してくださり、また多くの活動に注目していただきありがとうございます。
今回は、子宮頸がんを予防するために大切な「HPVワクチン」と「子宮頸がん検診」についてお話しします。自分や大切な人の未来を守るために、私たちにできることを一緒に考えていきましょう。
それでは書いていきたいと思います。
今日のテーマは「子宮頸がんを「過去の病気」にするために 〜ワクチンと検診が未来を変える〜」についてです。

「先生、第1話では『子宮頸がんは予防できる可能性が高いがん』というお話、第2話ではHPVワクチンの安全性について学びました。でも、最後に一つ聞いてもいいですか?」

「もちろん。」

「結局、私たち一人ひとりにできることって何なんでしょう?」

「とても大切な質問だね。その答えは意外とシンプルなんだ。子宮頸がんを予防するために私たちができることは、『HPVワクチンを接種すること』と『子宮頸がん検診を受けること』、この二つなんだ。」

「ワクチンだけでは十分ではないんですね。」

「そうなんだ。HPVワクチンは非常に高い予防効果を持っているけれど、すべての発がん性HPVを防げるわけではない。現在日本で主に使用されている9価HPVワクチン(シルガード9)は、子宮頸がんの原因となるHPVの約9割をカバーすると考えられている。でも、残りの型による子宮頸がんが起こる可能性はある。」

「だから検診も必要なんですね。」

「その通り。子宮頸がんは、がんになる前の『前がん病変』という段階で見つけることができる。検診で発見できれば、比較的体への負担が少ない治療で治すことができる場合が多い。つまり、ワクチンは『原因を防ぐ』、検診は『見逃さない』。この二つがそろって初めて、大きな予防効果が期待できるんだ。」

「世界では、この二つを徹底した結果が出ているんですよね。」

「そう。第1話でも話した通り、オーストラリアではHPVワクチン接種率と検診受診率を高めることで、子宮頸がんの罹患率は人口10万人あたり約5人まで低下した。若い世代では発症が極めて少なくなり、2035年頃には世界で初めて『子宮頸がん排除国』になることを目指している。」

「『排除』という言葉には驚きました。」

「完全にゼロになるという意味ではないけれど、公衆衛生上ほとんど問題とならないレベルまで減らすという考え方だ。イギリスやニュージーランドでも同様に大きな成果が報告されていて、『子宮頸がんは予防できる病気』という考え方が世界の常識になりつつある。」

「日本も同じ未来を目指せますか?」

「もちろん可能だよ。ただし、そのためには私たち一人ひとりの行動が欠かせない。」

「先生、HPVというと女性の病気という印象があります。」

「実は、それも誤解なんだ。HPVは女性だけのウイルスではない。男性も感染するし、男性自身が中咽頭がん、肛門がん、陰茎がんなどHPVに関連する病気を発症することがある。また、性交渉を通じてパートナーへ感染を広げる可能性もある。」

「ということは、男性もワクチンを接種する意味があるんですね。」

「その通り。海外では男女ともに接種することが一般的になっている国も多い。一方で、日本では男性への接種はまだ十分に普及しているとは言えない。自治体によって助成制度は少しずつ広がっているけれど、地域差も大きいのが現状なんだ。」

「子宮頸がんをなくしたいなら、女性だけの問題ではないんですね。」

「まさにその通り。HPV感染を社会全体で減らしていくことが大切なんだ。千葉県も男性に対する助成を増やして欲しいね。そのためにも女性の接種率を上げることも重要なんだ。」

「先生は診療の中で、どんなことを一番伝えたいと思っていますか?」

「私は、『知らなかった』という理由で予防の機会を逃してほしくないと思っている。」

「知らないことが、一番のリスクになることもあるんですね。」

「HPVワクチンは、対象年齢であれば公費で接種できる世代がある。つまり、無料でがん予防ができる貴重な機会なんだ。その機会を因果関係の乏しい“多様な症状”を嫌うことで逃してしまうのは、とてももったいないことだと思う。」

「でも、情報が多すぎて何を信じたらいいのか分からないという人もいます。」

「だからこそ、私たち医療者には正しい情報を分かりやすく伝える責任がある。医療は一つの体験談だけで判断するものではない。世界中で積み重ねられた研究や、多くの患者さんのデータをもとに、『利益がリスクを上回るか』を考えていく学問なんだ。」

「先生、この3回のお話を聞いて思いました。子宮頸がんは、『運が悪かった』ではなく、『予防できたかもしれない』病気なんですね。」

「私はそう思うよ。もちろん、ワクチンを接種しても100%防げるわけではないし、検診を受けていても、すべてのがんを防げるわけではない。でも、ワクチンと検診を組み合わせることで、多くの子宮頸がんを予防し、死亡率を大きく減らせることは、世界中の研究が示している。」

「未来はもう始まっているんですね。」

「そう。オーストラリアで起きていることは、決して特別な奇跡ではない。科学的根拠に基づいた予防を、社会全体で実践した結果なんだ。」

「最後に、このブログを読んでくださった皆さんへ、先生からメッセージをお願いします。」

「子宮頸がんは、現在の医療で最も予防できる可能性が高いがんの一つです。しかし、その未来は医療者だけではつくることができません。保護者の皆さん、接種対象となるお子さん、ご家族、学校、地域、そして私たち医療者が同じ方向を向いて初めて、“子宮頸がんを過去の病気にする”という目標に近づくことができます。
もしこのブログを読んで、『そうだったんだ』『家族にも伝えたい』と思っていただけたなら、それが未来を変える第一歩です。
かない内科では、これからも科学的根拠に基づいた正しい情報を発信し、一人でも多くの方が安心してHPVワクチンを選択し、適切な検診を受けられるようサポートしていきます。
ぜひ皆さんも、ご家族や友人に『子宮頸がんは予防できる可能性が高い病気なんだよ』と伝えてください。その一言が、大切な誰かの未来を守るきっかけになるかもしれません。
子宮頸がんを治療する時代から、予防する時代へ――。
その未来を、一緒につくっていきましょう。」
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